ビッグ・ベン、バッキンガム宮殿、ミュージカルの本場ウェスト・エンド。
イギリス、特にロンドンは、観光・文化・歴史がぎゅっと詰まった憧れの旅行先のひとつです。
ただし、「先進国だから安全」と思い込んでしまうと、思わぬ落とし穴にハマってしまうこともあります。
日本と違う交通ルールや公共マナー、スリや治安の問題、さらには“知らなかった”では済まされない文化的タブーまで…。本記事では、イギリス旅行、特にロンドン滞在中に気をつけたい9つの注意点を中心に、やってはいけない行動、治安の悪い地域情報まで、現地目線で丁寧に解説していきます。
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イギリス旅行/ロンドンで気をつけるべき9つの注意点を紹介

イギリスは世界中から観光客が集まる国であると同時に、都市ごとの特性や地域ごとの差が大きい国でもあります。
特にロンドンでは、交通ルールや公共マナーに加え、スリ・置き引き・宿泊施設のセキュリティなど、旅行者が気をつけるべきポイントが多く存在します。
この章では、特に多くの人が失敗しがちな9つの注意点を実例と共に詳しく解説していきます。
歩きスマホは避けるべき、特にロンドン中心部ではスリの標的に
ロンドンは観光スポットが密集しているため、スマホで地図を確認しながら歩く人が多く見られます。しかし、歩きスマホはスリにとって格好のターゲット。特に観光地であるピカデリーサーカス、ウェストミンスター周辺、ナショナルギャラリー前などでは、スマホを手にしたまま歩いている観光客が背後から狙われやすくなっています。
ロンドン塔の近くを観光していた際、写真を撮ろうと立ち止まって携帯をかざしていたところ、男性が近づいてきて携帯を奪おうとしました。幸いストラップを付けていたため未遂で終わりましたが、携帯を鞄から出す際はお気をつけください。ストラップを付けて首から下げるのもよいですが、万が一引っ張られた際に怪我をする可能性があるので、個人的にはストラップの反対側を鞄の中に入れておいて、まるで鞄と繋がっているかのように見せるのが効果的かと思います。リスクメイトの投稿より
盗難は一瞬です。スマホを奪って逃げる“ひったくり型”のスリもおり、気づいた時には犯人の姿すら見えないケースも。道に迷った場合は、安全な場所に立ち止まって確認する、もしくは駅やカフェに入って調べるという行動が推奨されます。
カバンは必ず体の前に!リュックは後ろから開けられるケースも多い
ロンドンの混雑した地下鉄やマーケットでは、リュックやトートバッグを背中に背負っていると、中身を抜かれてしまう被害が多発しています。ナイフで底を切られることは稀ですが、ジッパーを静かに開けて財布やパスポートだけを取る手口は日常的に行われています。
そのため、観光中はカバンを常に体の前に持つ、もしくは斜めがけでチャックのあるバッグを使用するなど、防犯意識を持つことが重要です。また、荷物の一部はホテルのセーフティボックスに預けて、外出時に貴重品を最小限にするのも有効です。


車道を渡る時は「右見て左」が基本。日本と逆の交通に慣れることが大事
日本とは違い、イギリスは左側通行の国。そのため、横断歩道や交差点で「左右を確認してから渡る」という感覚が日本人旅行者には逆になってしまいがちです。特にロンドン中心部の交通量が多いエリアでは、“左を見てから渡ろうとすると右側から車が来て危険”という状況が多々あります。
ロンドン市内の横断歩道には「Look Right(右を見て)」という文字が路面に書かれていることが多いですが、緊張感なく歩いていると見落としがちです。とっさの判断ミスを避けるためにも、渡る前に必ず“右を見て、左を確認する”というルールを意識する必要があります。
バスや地下鉄での「順番抜かし」や大声の会話はマナー違反とされる
イギリスでは、公共の場でのマナーが非常に重視されています。特にロンドンの公共交通機関では、列を守る文化(Queue culture)が強く根づいており、バス停や地下鉄の乗車口で割り込みや横入りをすることは明確なマナー違反とされます。
また、日本では会話が弾んでも気にされない場面も多いですが、イギリスでは車内での大声の会話が非常に嫌がられます。特に朝の通勤時間帯や夕方の帰宅ラッシュでは、静かに過ごすことが暗黙の了解になっているため、知らずに声を張り上げてしまうと周囲から冷たい目で見られることも。
旅行者として、現地の人と気持ちよく共存するためにも、列に並ぶ、静かにする、スマホの音も消音にするといった基本的なマナーを守ることが大切です。
ピカデリーサーカス・オックスフォードストリートではスリが多発

ロンドンで最もにぎわいを見せるショッピングエリアといえば、ピカデリーサーカス(Piccadilly Circus)やオックスフォードストリート(Oxford Street)です。多くの観光客が集まり、ブランド店やデパートが立ち並ぶ華やかな通りですが、その分スリの被害も非常に多いエリアとして知られています。
スリの手口は巧妙で、背後からバッグを開けられたり、チームで囲まれて注意を逸らされたすきに貴重品を奪われたりするケースもあります。さらに、「ぶつかって謝りながらすれ違う」など、一見礼儀正しく見える行動の中にも犯罪が潜んでいることがあります。
このエリアでは、スマホの操作中や写真撮影中の無防備な瞬間が特に危険。カバンのジッパーを確認し、財布やパスポートは身体の内側で持つなど、常に防犯を意識することが重要です。

夜間の地下鉄利用は路線によって雰囲気が異なる
ロンドンの地下鉄(チューブ)は非常に便利で観光客にも使いやすい交通手段ですが、夜間になると路線やエリアによって治安が変わることに注意が必要です。特に遅い時間帯になると、酔っ払い・騒がしい若者グループ・明らかに挙動不審な人が増えることがあります。
ナイトチューブと呼ばれる金曜・土曜の24時間運行路線では、多くの人が利用している反面、混雑した中でのスリや痴漢、トラブルも発生しやすくなる傾向があります。
特に気をつけたいのは、一人で乗る時や、終電間際の閑散とした車両に乗る時。可能であれば、乗車は人が多く乗っている車両や、車掌室に近い車両を選ぶと安心です。女性の一人旅では、夜遅くの移動はタクシーやUberなどの利用を検討するのも一つの方法です。
シェアハウス・格安宿ではセキュリティに差がある
ロンドンの物価は非常に高いため、旅行者の多くがシェアハウスや格安ゲストハウスに宿泊する傾向があります。しかし、こうした施設ではセキュリティ対策が十分でないケースも多く、盗難やトラブルに巻き込まれる可能性も否めません。
鍵が共用だったり、部屋のロックが甘かったり、外部から誰でも入れてしまうような建物も存在します。レビューの評価が高くても、セキュリティ面の記述が少ない宿には注意が必要です。
可能であれば、「貴重品ロッカーがある」「入口にオートロックがある」「24時間スタッフ常駐」といった条件を優先して選ぶことをおすすめします。また、パスポートや現金は宿に置かず、外出時も分散して持つことがリスク回避につながります。

ハイドパークなどの大公園は日中でも「奥地」は注意が必要
ロンドンにはハイドパークやリージェンツパークなど、自然豊かな広大な公園が多数あり、旅行中の癒しスポットとしても人気です。ただし、こうした公園では中心部を離れた“奥まった場所”や茂みの多いエリアでは、日中であっても注意が必要です。
観光客を狙ったスリや、1人歩きの女性をターゲットにした声かけ、さらには薬物使用者の溜まり場になっていることもあるため、静かすぎる場所や人の少ないルートは避けるのが賢明です。
公園での散歩やピクニックを楽しむ場合は、人通りが多く見晴らしの良いエリアを選ぶようにし、スマホやバッグをベンチに置きっぱなしにしないなど、都市ならではの防犯意識を忘れないことが大切です。

天候の変化が激しく、雨具とレイヤード服が必須
イギリス、特にロンドンは1日のうちに四季があるとも言われるほど天気の変化が激しい地域です。朝は快晴でも午後には急に雨が降り、夕方には肌寒くなるなど、予測が難しいのが特徴です。
そのため、旅行中は必ず折りたたみ傘や防水ジャケットを携帯し、服装も重ね着(レイヤード)で調整できるスタイルが理想です。薄手のセーターやカーディガン、風を通さないアウターがあると、寒暖差への対応がしやすくなります。
また、天気予報はあくまで参考程度にとどめ、“いつでも雨が降る可能性がある”という前提で準備をしておくことが快適な観光のコツです。
知らずにやりがちな「イギリスでやってはいけないこと」

イギリスには、観光ガイドにはあまり詳しく載っていないけれど、現地では“常識”とされているルールやマナーが数多く存在します。
それを知らずに行動してしまうと、「無礼な人だ」と思われたり、最悪の場合は罰金やトラブルにつながることも。
この章では、日本人旅行者が特にやってしまいがちな“イギリスでNGとされる行動”を紹介し、その背景にある文化や考え方もあわせて解説していきます。
パブでは自分の番に「奢らない」のは無礼とされることも
イギリス文化においてパブは単なる飲み屋ではなく、地元の人々にとって社交の場であり、暗黙のルールが存在する場所です。その中で特に注意したいのが、“ラウンド(round)”と呼ばれる順番に飲み物を奢り合う文化です。
友人やグループで飲みに行くと、一人が全員分のドリンクを購入し、次は別の人が…という具合に順番で奢り合うのがマナーとなっています。日本のように「それぞれが自分の分を払う」は、場合によっては「付き合いを軽んじている」と受け取られることも。
もちろん、観光客がすぐにこの文化に溶け込む必要はありませんが、イギリス人との飲みの場に誘われたときには“ラウンド”の流れを観察して行動するのがベストです。
エスカレーターで右側に立つのはNG、急ぐ人のための左側を空ける
ロンドンの地下鉄や大型施設では、エスカレーターでの立ち位置に厳しい暗黙のルールがあります。それが、「右側に立って左側を空ける」というもの。左側は、急いでいる人が歩いて上がる“追い越しレーン”として機能しており、右側に立つのがマナーです。
日本の関西と逆、あるいは関東と同じ感覚ですが、ロンドンではこのルールが非常に徹底されており、左側をふさぐと舌打ちや注意を受けることもあります。旅行者でも例外ではありません。
駅のアナウンスでも「Stand on the right, walk on the left」と繰り返し流れるほどなので、エスカレーターに乗る際は自動的に右側に立つことを習慣づけるとスマートです。
話しかける時に「階級」や「アクセント」を話題にしない
イギリスは多様性に富んだ国であると同時に、今も根強く“階級意識”が残る社会です。また、出身地によって異なるアクセントが存在し、それによって無意識の偏見や評価が生まれることもあります。
そのため、気軽な気持ちで「どこのアクセント?」「上流階級っぽい話し方ですね」といったことを言ってしまうと、非常に無礼と受け取られる可能性があります。特に、階級や学歴、職業に関する話題は避けるのが無難です。
フレンドリーな会話が始まったとしても、最初は天気や旅の話、食べ物、サッカーなど、軽い話題から始めるのがイギリス流。デリケートな社会的背景に関わる質問は慎み、自然な距離感を大切にしましょう。

タバコのポイ捨て・ガムの吐き捨ては罰金対象

ロンドンを含むイギリスの都市部では、公共の場所での美化と衛生に対する意識が非常に高く、ポイ捨て行為には厳しい罰則が設けられています。
特に注意が必要なのは、たばこの吸い殻やチューインガムの吐き捨て行為。これらはたとえ人目につかなくても、監視カメラや市の職員に見つかると、その場で罰金(80〜150ポンド、日本円で1万5000円以上)を科されることもあります。
イギリスでは、街の清潔さを保つことが市民の誇りでもあるため、「見られていなければOK」という意識は通用しません。喫煙は必ず指定された場所で行い、吸い殻は灰皿や携帯用ケースへ。ガムについても、ゴミ箱へ捨てるのが当たり前のマナーです。
街中の張り紙に「Littering = Fine(ポイ捨て=罰金)」と明記されているのを見たら、それは本当に実行されているルールだと受け止めましょう。
レストランでのチップは「強制」ではないが、状況に応じて判断を
イギリスではアメリカほど強いチップ文化はありませんが、レストランやカフェ、ホテルではチップを渡すことが一般的な習慣となっています。目安は料金の10〜15%程度。しかし、多くのレストランではサービス料があらかじめ会計に含まれている場合もあるため、伝票をよく確認することが大切です。
サービス料が「Included」と記載されていれば追加チップは不要ですが、「Optional」となっている場合や記載がない場合は、自分の判断でチップを置くのがスマートな振る舞いです。
無理に渡さなければいけないわけではありませんが、気持ちの良い接客を受けた場合にはチップを添えることで、感謝の気持ちが伝わります。
なお、現金がない場合でも「カードにチップを追加して支払えますか?」と尋ねれば、ほとんどの店で対応可能です。
形式にこだわりすぎず、“感謝の気持ちを形にする”というチップ本来の意味を理解することが重要です。
イギリス国内で「治安が悪い地域」として知られるエリア

イギリスは基本的に治安の良い国というイメージがありますが、地域によっては犯罪件数が高く、観光客が被害に遭いやすい場所も存在します。特に大都市の一部エリアでは、薬物や暴力、スリなどの軽犯罪が多発していることから、旅行者は注意を払う必要があります。
この章では、イギリス国内で治安が悪いとされる代表的な地域を4つ紹介し、現地での対策や行動のヒントもあわせて解説していきます。
ロンドンのブリクストン、カムデン周辺
ロンドンは一見すると華やかな都市ですが、ブリクストン(Brixton)やカムデン(Camden)といったエリアは治安面でやや不安がある地域として知られています。
ブリクストンはカルチャーの発信地として人気がある一方で、夜間になるとドラッグ取引や暴力事件が増える傾向にあり、観光客が一人歩きするのはおすすめできません。特に金曜日や土曜日の夜は、パブやクラブ帰りの人々が多く、トラブルが起きやすい時間帯です。
カムデンも昼間は観光客でにぎわう場所ですが、マーケット周辺ではスリや置き引き被害が頻繁に報告されています。活気のある雰囲気に油断せず、貴重品の管理を徹底することが大切です。
マンチェスターのモスサイド地区
イングランド北部の都市マンチェスターには、再開発が進みつつあるエリアが多くありますが、モスサイド(Moss Side)地区は今なお治安が悪い地域として認識されています。
この地区では、ギャング抗争や薬物関連の犯罪が多く、夜間の移動は特に注意が必要です。観光客が立ち寄ることは少ないかもしれませんが、誤って通ってしまわないよう、地図で位置を確認し、地元の人やホテルスタッフのアドバイスを参考にすることが有効です。
なお、マンチェスター市内でも中心部は比較的安全で、サッカー観戦やショッピングは安心して楽しめるエリアが多いため、危険地域との線引きを意識して行動することが鍵となります。
リヴァプールのトキスタス・エバートン
ビートルズの故郷として知られるリヴァプールも、近年は観光地として再評価されていますが、トキスタス(Toxteth)やエバートン(Everton)といった一部エリアでは暴力や窃盗などの犯罪が報告されています。
特にトキスタスは、以前から暴動の舞台となるなど、社会的な問題を抱えたエリアとして知られており、旅行者が目的なく立ち寄るべき場所ではありません。エバートンも同様に、夜間や裏通りの移動は避けるべきです。
リヴァプール中心部は比較的安全ですが、少し離れると雰囲気が大きく変わるため、観光の際は移動ルートや周辺環境に気を配る必要があります。
バーミンガム市内の一部地区
イングランド中部の主要都市バーミンガムも、中心部は商業施設やレストランが並び旅行者にとっては魅力的ですが、ディグベス(Digbeth)やスパークブルック(Sparkbrook)などの一部地域では、軽犯罪や暴力事件が報告されています。
これらの地区は特に夜間の人通りが少なくなり、不審者の出没もあるため注意が必要です。バーミンガムは交通の便がよく郊外に出やすいため、危険エリアを回避しながら観光を楽しむことが可能です。
治安情報は現地のニュースや警察サイト、旅行者向けの掲示板などで更新されていることもあるため、最新の情報を得る習慣をつけておくと安心です。
まとめ|イギリス旅行を安全に楽しむためのポイントとは?
イギリス旅行は、歴史、芸術、自然、美食とさまざまな魅力にあふれた経験ができる反面、日本とは異なる治安感覚やマナー、文化の違いに注意が必要な場面も多くあります。特にロンドンのような大都市では、スリや置き引き、エリアごとの治安差、そして“知らずにやってしまう”NG行動がトラブルの引き金になることも。
本記事で紹介したように、イギリス旅行を快適に、そして安全に楽しむためには、
- スリ対策を徹底し、持ち物管理を怠らないこと
- 公共の場でのマナー(列を守る・静かにする)を意識すること
- 文化的な違いを尊重し、無意識にタブーに触れないこと
- 治安が不安視されるエリアは事前に把握し、立ち寄らないこと
これらのポイントを押さえておけば、イギリスは旅人に多くの感動と学びを与えてくれる素晴らしい国です。
現地の習慣に少しだけ歩み寄ることで、街の空気にも自然となじみ、トラブル知らずのスマートな旅行者として、現地の人々からも好印象を持たれるはずです。
どうぞ、安全・快適・そして気持ちの良いイギリスの旅を心から楽しんでください!
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