スウェーデン旅行は危険？｜治安悪化の背景と女性・観光客が知るべき注意点まとめ

スウェーデンと聞いて思い浮かべるのは、美しい自然、洗練された街並み、そして福祉国家としての安心感ではないでしょうか。旅行先としても人気が高く、ストックホルムやヨーテボリ、マルメなどはヨーロッパの中でも特に洗練された都市として知られています。

しかし近年、「スウェーデンの治安が悪化している」という報道やSNSでの声が増えており、旅行を計画している人の中には不安を感じている方も多いかもしれません。本記事では、

• 外務省の最新の治安状況
• 女性や観光客が気をつけるべきこと
• スウェーデン独自の文化やマナー

などを解説します。旅行前に知っておくべき内容を網羅していますので、ぜひ最後までご覧ください。

スウェーデン旅行は危険？外務省データから最新の治安状況を分析

スウェーデン旅行を検討している方の中には、「本当に安全なのか？」と不安に感じている人も多いはずです。

治安のイメージは人それぞれですが、実際にどうなのかは公的な情報をもとに冷静に見極めることが大切です。

この章では、外務省が公表している安全情報をもとに、現在のスウェーデンの治安状況を分かりやすく整理し、旅行者が注意すべき点やエリアについて詳しく解説していきます。

外務省の安全情報では「比較的安全」だが一部注意地域あり

日本の外務省による最新の海外安全情報によれば、スウェーデン全体としては「レベル0」、つまり特別な警戒は必要ない国として位置づけられています。これは、基本的には観光や短期滞在において大きな危険は少ないとされている証です。

ただし、これは国全体の評価であり、都市ごと・地域ごとに見れば事情は異なります。特にストックホルムの郊外やマルメの一部エリアでは、過去数年で犯罪件数が上昇しており、外務省も「一部地域では注意が必要」としています。

観光客が訪れる中心街は比較的安全ですが、

• 夜間や人通りの少ない場所
• 住宅街の奥

などは、念のため避けるべきエリアも存在するというのが実情です。旅行前には、宿泊先の周辺エリアの情報をしっかりチェックし、無用なリスクを避ける行動が求められます。

観光客を狙ったスリや詐欺は都市部で多発している

スウェーデンの治安は概ね良好とされる一方で、観光客を狙ったスリや詐欺は都市部を中心に日常的に発生しています。特に、中央駅、ショッピングモール、観光名所周辺では「観光客＝無防備」という先入観から、財布やスマートフォンを狙う犯行が後を絶ちません。

カフェでコーヒーを飲んでいたところ、男性が近づいてきて段ボールに描かれた絵を見せながら勧誘してきました。「No,no」と言っていると立ち去りましたが、気づいたらカバンに入れていたスマホが無くなってました。絵に気を取られているうちに盗まれました。リスクメイトの投稿より

実際、スウェーデンでは「武器を持った強盗」というよりも、巧妙で静かなスリや置き引きが主流です。そのため、気がついたときにはすでに手遅れというケースが多く、旅行者にとっては大きな痛手になります。

バッグは必ず身体の前に抱え、公共交通機関では常に周囲に気を配るなど、自衛意識を高めることが最善の防犯策となります。また、「親切そうに話しかけてくる人」にも注意が必要で、気をそらせている間に荷物を奪うという手口も報告されています。

夜間の一人歩きは地域によってリスクがある

スウェーデンは北欧の中でも比較的自由で開かれた社会ですが、夜間の一人歩きには注意が必要なエリアも確実に存在します。たとえば、ストックホルムの中心部は夜でも人通りがあるため比較的安全ですが、郊外に出ると街灯が少なく、雰囲気が一変します。

特に冬季は日没が早く、午後3時～4時には真っ暗になることもあるため、実質的な夜間行動の時間が長くなる点にも注意が必要です。女性や一人旅の方は、できる限り明るい時間帯に行動を終えるよう計画を立てると安心です。

現地に住む人ですら避けるエリアが存在する以上、旅行者が軽い気持ちで足を踏み入れるのは危険です。「地元の人がいない」「暗くて人気がない」と感じたら、すぐに引き返す勇気も大切です。

スウェーデンの治安悪化の背景にあるもの

一見すると穏やかで平和な印象のあるスウェーデンですが、近年「以前より治安が悪くなった」と感じる声が国内外で増えています。

その背景には、移民政策や社会構造の変化、若年層の貧困など、複雑な問題が絡み合っているのです。この章では、スウェーデンの治安に影響を与えている深層的な要因について分かりやすく解説していきます。

移民受け入れと社会統合の問題が複雑化している

スウェーデンは人道的な立場から、長年にわたり難民・移民の受け入れに積極的な姿勢をとってきました。特に2015年の欧州難民危機の際には、他国と比較しても圧倒的に多くの難民を受け入れ、「寛容な国」という評価を得ました。

しかし、その受け入れのスピードに対し、社会統合の準備や支援制度の整備が追いつかなかったという側面もあります。新たにスウェーデンに住み始めた人々の中には、言語や教育、就労の壁に直面し、社会的に孤立してしまうケースが後を絶ちません。

特に都市郊外では、こうした移民コミュニティが集中する地域が形成され、地元社会との摩擦や経済格差が顕在化するようになりました。一部では若者を中心としたギャングのような集団も出現し、発砲事件や爆発物の使用といった、以前のスウェーデンでは考えにくかった事件も起きています。

これは国全体の治安というよりも、「特定エリアでの治安の不安定化」を生む原因となっているのです。

地域格差と若者の貧困が犯罪率上昇に影響

スウェーデンは福祉国家というイメージがありますが、近年はその中でも「都市間」や「階層間」の格差が拡大してきています。特に、移民の多いエリアでは、仕事に就けず貧困状態にある若者も少なくありません。

若者が将来への希望を持てず、教育からもドロップアウトしてしまうと、非合法な手段で収入を得る方向に流れてしまうリスクが高まります。これは犯罪組織にとって「リクルートしやすい人材」が増えるということでもあり、麻薬売買、暴力、窃盗などの温床となることがあります。

このような背景を考えると、治安の悪化は単なる「不運な犯罪」ではなく、構造的な課題が生み出した結果であるとも言えるのです。旅行者としては、「スウェーデン＝安全」という先入観にとらわれず、現地の事情を理解したうえで行動することが重要です。

スウェーデン独自の“自由と放任”文化が治安に影響を与えることも

スウェーデン社会の特徴として挙げられるのが、個人の自由を尊重し、政府や警察の介入を最小限に抑える文化です。これは一見すると良いことのように感じられますが、治安維持の観点では対応が後手に回る原因になることもあります。

たとえば、少年犯罪に対しても厳罰化よりは「更生・教育」に重きを置く傾向があり、その結果として若年層の犯罪が繰り返されやすい環境が生まれているという指摘もあります。また、公共空間でのルール違反や迷惑行為に対しても、現地の人々が「口出ししない文化」を持っているため、小さなトラブルが見過ごされがちという一面もあります。

自由の裏には自己責任がある。

この考え方が根付いているスウェーデンでは、旅行者自身が状況を読み取り、自らを守る意識を強く持つことが求められるのです。

女性がスウェーデン旅行で注意すべきポイント

スウェーデンはジェンダー平等が進んだ国として知られており、女性一人の旅行も比較的しやすい国という印象を持つ人も多いでしょう。

しかし、どれだけ自由で安全な国であっても、女性特有の視点で注意すべき点があるのも事実です。

この章では、スウェーデンを旅行する女性が意識しておきたい注意点や行動のコツを、実際の現地事情に基づいて解説していきます。

性別を問わず自由な社会だが、逆に“無関心”な一面もある

スウェーデンは、性別・人種・宗教などあらゆる多様性が尊重される社会です。誰もが自分らしく生きられる環境が整っており、女性が一人で外食したり、カフェで読書をしていても奇異な目で見られることはまずありません。その点では、日本よりもずっと自由を感じられる場面も多いでしょう。

ただ、その自由の裏には「他人に干渉しない＝関わらない」という文化もあります。困っている人がいても、声をかけることをためらう人が多いのも事実です。これは冷たいというより、個人の領域を尊重するスウェーデン独特の価値観から来るものであり、悪意があるわけではありません。

だからこそ、何かあった時に「誰かが助けてくれるだろう」と考えるのは危険です。トラブルに巻き込まれた場合は、自分から助けを求める姿勢が必要になります。英語での意思表示や、近くの店や警察に駆け込む勇気を持つことが大切です。

夜間や人通りの少ない場所では一人行動を避けるべき

昼間のスウェーデンは街並みも美しく、人々の穏やかな表情や治安の良さに安心感を覚えるかもしれません。しかし、夜になると雰囲気が一変する場所も多く存在します。特に観光エリアを離れた住宅街や郊外では、夜間になると人通りが極端に少なくなり、不安を感じることも。

また、スウェーデンでは冬季になると午後3時や4時には日が落ち、実質的な「夜」の時間が長くなります。そのため、予定していた行動が「まだ夕方のつもりだったのに、もう真っ暗で帰り道が怖い…」といった状況になりやすいのです。

さらに、たとえ犯罪が起きにくい場所であっても、女性が夜に一人で行動していると、声をかけられる、つきまとわれるなどのリスクはゼロではありません。現地の女性でさえ、

• 暗くなってからはバス停から家までの道を急ぐ
• 誰かと通話しながら歩く
• 鍵をすぐ取り出せるように持っておく

といった工夫をしています。旅行者であればなおさら、日没後の移動は最小限に抑え、事前にルートを確認しておくことが重要です。

また、クラブやバーなど夜のエンタメを楽しむ場合も、帰りは必ず信頼できる交通手段を確保し、できるだけ複数人で行動するようにしましょう。

旅行者が誤解しやすい「スウェーデンの文化」

スウェーデンを訪れる旅行者の中には、「人は親切だけど、なんだか距離を感じる」「公共の場がとても静かで戸惑った」という印象を受ける人が少なくありません。

これは、決して冷たさからくるものではなく、スウェーデンの文化や価値観に基づいた行動パターンです。

この章では、旅行者が知っておきたいスウェーデン特有の文化的特徴を紹介し、現地の人々とより良い関係を築くためのヒントをお伝えします。

フィーカ文化に代表される“個人の時間”への尊重

スウェーデンを語るうえで欠かせないのが「フィーカ」という習慣です。

これは単なる「コーヒーブレイク」ではなく、友人や同僚とゆったりと過ごすための大切な時間を意味します。職場でも日常生活でも、フィーカは人間関係を築く大切なツールであり、スウェーデン人にとっては日々のリズムの一部です。

しかし、旅行者にとって注意したいのは、この“ゆったりした時間”を邪魔しない配慮です。たとえば、カフェでくつろいでいる地元の人に不用意に話しかけると、驚かれたり、そっけなく対応されることがあります。これは無礼だからではなく、個人の時間や空間を大切にする文化が根底にあるのです。

つまり、スウェーデンでは「話しかけられる＝歓迎」ではなく、「そっとしておく＝礼儀」という考え方が自然に根付いているということを理解しておくと、現地の雰囲気にも馴染みやすくなります。

静かな空間と公共マナーに対する意識が非常に高い

スウェーデンを訪れるとまず気づくのが、公共の場での静けさです。
電車の中、バスの車内、図書館、カフェ、どこに行っても騒がしく話す人はほとんどおらず、落ち着いた空間が保たれていることに驚くかもしれません。

これは、「周囲に迷惑をかけない」「公共空間では静かにする」という意識が社会全体に浸透しているためです。旅行中に友達や家族と話が盛り上がったとしても、声のボリュームには常に気をつける必要があります。特に閉鎖空間では、日本よりも静かさが重視される傾向が強いため、無意識のうちに「うるさい観光客」と思われてしまうことも。

また、電車での通話やスピーカーモードでの動画視聴は、非常にマナー違反とされる行動です。日本人であればそのあたりは問題ありませんよね。

まとめ｜スウェーデン旅行を安全に楽しむために知っておくべきこと

スウェーデンは自然と都市の魅力が共存する、美しく整った国です。基本的には治安の良い国とされていますが、近年は一部地域での犯罪増加やスリ被害が報告されており、過信は禁物です。

外務省の安全情報をはじめ、治安の背景にある社会問題や文化的な違いを理解したうえで行動すれば、スウェーデン旅行は十分に安心して楽しめます。特に女性や一人旅の方は、夜間の行動や人の少ないエリアへの立ち入りを控えるなど、基本的なリスク回避を意識することが大切です。

また、スウェーデン独特の文化や公共マナーにも配慮することで、現地の人々とのすれ違いや不快な思いを減らすことができます。「自由」と「距離」を尊重する社会に合わせた行動が、旅をより心地よいものにしてくれるでしょう。

知識と準備があれば、スウェーデンは間違いなく感動に満ちた旅先です。安全で快適な滞在を楽しんでくださいね。