南アフリカは、壮大な自然と多様な文化が魅力の国。ケープタウンの美しい海岸線や、野生動物との出会いが待つサファリツアーなど、まさに冒険心をくすぐる旅行先です。
しかしその一方で、「治安が悪い」「女性旅行者は危ない」といった声が後を絶ちません。特にヨハネスブルグなどの都市では、犯罪に巻き込まれたという報告も少なくなく、実際に「南アフリカ旅行=覚悟が必要」と感じる女性も多いのが現状です。
この記事では、2025年現在の最新治安情報をもとに、南アフリカを旅行する女性が知っておくべき危険とその対策を網羅的に解説します。
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南アフリカの治安が女性にとって最悪な理由を解説

南アフリカはアフリカ大陸の中でも経済的に発展した国のひとつですが、その一方で深刻な社会問題も多く、特に女性旅行者にとっては油断ならない国として知られています。
この章では、なぜ南アフリカが「女性にとって危険」と言われるのか、その理由を実際の事例や統計を交えて解説していきます。
ヨハネスブルグでは性犯罪や強盗の被害報告が多い

南アフリカ最大の都市、ヨハネスブルグ。ビジネスや文化の中心地でありながら、世界で最も危険な都市のひとつとされているのが現実です。とりわけ女性を狙った性犯罪や強盗事件の件数が多く、外務省も渡航に注意を促す地域として情報を公開しています。

日中でも油断は禁物で、人通りの少ない通りや公共施設のトイレ、タクシー内などで被害に遭う事例が報告されています。また、現地警察による対応も十分とは言えず、被害届を出しても追跡や捜査が行われないケースも少なくありません。
旅行者にとって最も危険なのは、加害者が「観光客は狙いやすい」という認識を持っていること。このため、行動範囲や服装、時間帯など、旅行者自身が安全対策を徹底する必要があるのです。
経済的なジェンダー格差が女性をターゲットにさせる要因に
南アフリカでは、長年にわたる人種差別と経済格差が今も深刻な社会問題として根を張っています。
その中でも特に女性、特に低所得層の女性に対する構造的な不平等や暴力が社会に広がっており、それが外国人女性旅行者にも影響を及ぼしているのです。
たとえば、教育や雇用の機会においても女性は依然として不利な立場にあり、貧困層の中では「金銭的な理由で犯罪に関与する」というケースが現実にあります。
また、一部の男性が持つ価値観として、女性を「自分より下の存在」と捉える風潮が残っており、それがハラスメントや暴力行為の温床になっているのです。
そのため、旅行者が街を歩いているだけでも、「裕福に見える」「自由に旅をしている」というだけで「ターゲットにされやすい」空気感があるのが南アフリカ特有の現実です。
これは性別問わず起きる現象ですが、特に女性に対しては露骨に「モノを見るような視線」が集まることもあるため、精神的にもストレスを感じやすい旅先となり得ます。

公共交通や路上でのハラスメントが日常的に発生している
南アフリカを旅行する上で避けて通れないのが、「公共交通での安全性」です。
とくに女性にとって不快なのが、バスやミニバス、駅などの混雑エリアでのハラスメントや身体的接触です。具体的には、
- 知らない男性からのしつこい会話や付きまとい
- 肩や腰への不用意なタッチ
- 「写真を一緒に」と言いながら体を密着させてくる行為
などが日常的に起きており、現地の女性でさえも一人での外出や公共交通機関の利用に強い警戒を持っているほどです。
また、乗車中のスリや荷物のひったくりも多く、「背後から静かにバッグを開けられていた」という報告も後を絶ちません。配車アプリ(UberやBolt)は比較的安全とされていますが、それでも運転手との距離感には注意が必要で、夜間は同乗者がいたとしても安心とは言い切れません。
- 公共交通機関の利用を最小限に抑えること
- 信頼できるホテルで送迎を手配すること
- 車内や駅で周囲に常に気を配ること
などがあげられます。「常に誰かに見られている」という意識で行動することが、安全を守るための基本になるのです。
【なぜ?】南アフリカの治安が悪い3つの理由

観光資源に恵まれ、経済的にもアフリカの中で最も発展した国のひとつである南アフリカ。
にもかかわらず「危険な国」として世界中の旅行者から警戒されているのは、構造的かつ根深い要因が重なっているからです。
ここでは、南アフリカの治安が悪化している背景を大きく3つに分けて解説します。
貧困と失業率の高さが犯罪率の温床に
南アフリカの失業率は、2025年現在でも30%前後と非常に高く、特に若年層では50%を超える地域もあるという衝撃的な現実があります。
また、都市と地方、白人と黒人、富裕層と貧困層の格差が依然として大きく、「生きるために犯罪に走る」環境が常態化しているのです。
街を歩けば、高級ショッピングモールの隣にスラム街があるような景色が珍しくなく、「持つ者」と「持たざる者」が物理的にも隣り合わせの社会です。観光客が派手な服装や高級カメラを持って歩いているだけで、「獲物」として見なされやすい背景がここにあります。
犯罪が悪意からではなく、生活苦やサバイバルの手段として行われているという現実も、この国の治安の複雑さを物語っています。
麻薬取引とギャングの影響が地域治安を悪化させている
南アフリカ、とくにケープタウンやヨハネスブルグの一部地域では、麻薬密売やギャング抗争が治安悪化の主因となっています。
これらの地域では、銃撃事件や強盗、誘拐といった重大犯罪が日常的に発生しており、観光地から少し外れるだけで「別世界」のような治安レベルになることも。
さらに問題なのが、ギャングが地元住民の生活に「影の政府」として関与しているケースもあり、警察も手を出せないエリアが存在しているという点です。
そのような場所に観光客が入り込んでしまえば、被害に遭っても誰も助けてくれない可能性が非常に高くなります。
このため、現地では「行ってはいけない場所を事前に知っておくこと」が何よりのリスク回避策になります。
警察の機能不全と司法制度の信頼低下
治安維持の最後の砦となるはずの警察ですが、南アフリカでは腐敗や予算不足、訓練の不備などにより、警察機能が十分に機能していないケースが多々あります。たとえば、
- 被害届を出してもまともに取り合ってもらえない
- 犯人が逮捕されても、証拠不十分で釈放される
- 警察官自身が市民を脅して金銭を要求する事例もある
というような信頼を揺るがす状況が、一般市民の間でも深刻な問題となっています。
そのため、多くの旅行者は「自己防衛がすべて」という意識で南アフリカを旅しており、警察に頼るという前提を持たないことが前提条件になりつつあります。
南アフリカの治安が悪い都市・良い都市を徹底比較!

南アフリカは国土が広く、多様な民族と文化が混在していることもあり、都市ごとの治安状況には大きな差があります。
「南アフリカ=危険」とひと括りにするのではなく、どこに行くかによって安全度がまったく異なるという点を理解しておくことが、安全な旅を実現するカギとなります。
この章では、治安が悪い都市、比較的良好な都市を具体的に比較して解説していきます。
治安悪い:ヨハネスブルグ
南アフリカの経済・交通の中心地でありながら、「世界で最も危険な都市のひとつ」とも言われるヨハネスブルグ。
特に危険とされるのは以下のエリアです:
- ヒルブロー(Hillbrow)
- アレクサンドラ(Alexandra)
- CBD(中心業務地区)全体の夜間エリア
これらの地域では、殺人、強盗、性犯罪、誘拐、麻薬取引、ギャングの抗争など、あらゆる凶悪犯罪が集中しています。また、昼間であってもひと気の少ない通りは避けるべきですし、観光名所の近くでも突然危険な空気に変わることがあるため、滞在自体に慎重な判断が求められます。
観光で訪れる場合は、信頼できる現地ガイドを同伴し、ホテルや空港といった「安全圏」から出ないよう行動範囲を絞るのが無難です。
治安普通:ケープタウン
ケープタウンは南アフリカでも特に人気のある観光都市で、美しい自然と文化的な雰囲気が魅力です。
ただし、治安がまったく良いというわけではなく、エリアによる差が大きいのが特徴です。
- シー・ポイント(Sea Point)
- グリーンポイント(Green Point)
- キャンプス・ベイ(Camps Bay)
- ケープ・フラッツ(Cape Flats)
- ナイランズ(Nyanga)やハイデルベルグ周辺
特にギャング活動が活発な地域は観光客立ち入り禁止に近い扱いです。
また、日が暮れると観光地でも雰囲気が一変することがあるため、夜の外出は控え、ホテルでのんびり過ごすのが賢明です。
治安良い:プレトリア・ダーバンなど
プレトリア(行政首都)は政府機関が集まり、比較的秩序が保たれている地域です。
また、観光客の数も多すぎず、のんびりとした雰囲気の中で過ごせるという点で「初心者向けの都市」とも言えます。
一方、ダーバンはインド洋に面した港町で、リゾート感と活気のある都市生活が融合しています。
とはいえ、こちらもスラムエリアや港湾の裏通りなどは注意が必要で、どんな都市でも「行っていい場所・避けるべき場所」を見極める目が欠かせません。
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女性が南アフリカ旅行中に気をつけるべき行動
南アフリカでは「女性旅行者=狙われやすい存在」であることを忘れてはいけません。
その前提に立ち、現地での行動・服装・持ち物の扱い方などを細かく見直すことが、安全確保に直結します。
ここでは、旅行中に特に注意したいポイントを、実体験にもとづいて解説していきます。
夜間の一人歩きは絶対NG、配車アプリで安全確保を
どれほど観光地として整備されているエリアであっても、南アフリカでの夜間の一人歩きは命取りです。
「近くのレストランまで5分だから大丈夫」といった油断が、思わぬトラブルを招く原因になります。
夜間に外出する必要がある場合は、必ず以下のような手段を取りましょう。
- UberやBoltなど、配車アプリを利用する
- ホテルで信頼できるタクシーを呼んでもらう
- 複数人で行動し、できれば男性を含めたグループで
特に女性一人で車道を歩いていると、車で近づいてきて声をかけてくる男たち、あるいは突然のひったくり・誘拐のターゲットになる可能性が高まります。
「夜に出歩かない」は南アフリカ旅行の基本中の基本と覚えておきましょう。
肌の露出が多い服装はトラブルの原因になりやすい
南アフリカでは比較的自由なファッションが許されている都市もありますが、女性旅行者にとっては露出が多い服装が「誘い」と誤解されるリスクがついて回ります。特に問題となるのは、
- 肩・太もも・背中が大きく開いた服
- 身体のラインが強調されるピッタリとした服
- 短すぎるショートパンツやミニスカート
こうした服装は、場所によっては性的な関心やハラスメントを招くきっかけになってしまうため、安全面で非常に不利です。
また、宗教色の強いエリアでは、「無礼な服装」として地元住民の反感を買うことも。
旅先ではあくまで「目立たない・防御力のある服装」を選ぶことが、精神的な安心にもつながります。
バッグの持ち方やスマホの扱いにも注意が必要
スリやひったくりが多発する南アフリカでは、「持ち物の出し方・持ち方」にも細心の注意が必要です。
特に観光地や市場、交通機関内では、以下の点を守ることで被害を防げる可能性が高まります。
- リュックよりも前掛けの斜め掛けバッグが安全
- チャック付きで体に密着するタイプを選ぶ
- 貴重品はバッグの奥に収納し、外ポケットは使わない

- 道端で地図を見ながら歩くのはNG
- 写真撮影中に持ち逃げされるケースも多い
- 高級機種は公共の場で極力取り出さない

また、車の中から狙う「ドライブバイ型」の窃盗もあるため、バス停や車道近くでスマホを操作していると、手元をすり抜けて盗まれることもあります。
つまり、南アフリカでは「目立たない・狙われない工夫」が旅の中でずっと求められるのです。
外務省の最新治安情報で見る南アフリカの危険度
旅行前に確認しておくべき最も信頼できる情報源の一つが、日本の外務省が提供している「海外安全情報」です。
南アフリカについても、外務省は最新の治安情報やリスクレベルを随時更新しており、その内容を理解しておくことで危険回避の精度が格段に上がります。
この章では、外務省の警告レベルや注目ポイントを元に、南アフリカの危険度を正確に把握する方法を解説します。
外務省「渡航中止勧告」が出ている地域あり

2025年4月現在、南アフリカ全土に渡って渡航が禁止されているわけではありませんが、一部地域では「渡航中止勧告(レベル3)」が発令されています。
- ヨハネスブルグのアレクサンドラ、ヒルブロー地区
- ケープタウン郊外のギャング支配地域(ケープ・フラッツなど)
- 東部の一部鉱山地域や貧困スラム
これらの地域は、警察も十分に管理できておらず、外国人が入るべきでないエリアとされています。
「観光ガイドに載っていない場所」に興味本位で近づくことは、非常に危険です。
レベル1〜4の地域別リスクと意味を正しい理解を
外務省の警告レベルは以下の通りです。
- レベル1(十分注意):一般的なリスクが存在する
- レベル2(不要不急の渡航は止めて):特定のリスクあり
- レベル3(渡航中止勧告):相当な危険がある
- レベル4(退避勧告):命に関わる危険がある
南アフリカの場合、観光地であってもレベル1〜2に指定されているケースが多く、油断は禁物です。
「観光地だから安全」ではなく、「観光地でもリスクはある」という視点を持ち、レベルをもとに行動計画を立てることが重要です。
渡航前に必ずチェックすべき「外務省サイト」と「リスクメイト」
旅行前には、次の2つのサイトを必ず確認しましょう。
① 外務省「海外安全ホームページ」
最新の治安情報や事件発生状況、緊急連絡先が確認できます。
② リスクメイト(RiskMate)
現地の在住者や旅行者からの「リアルタイムな危険報告」が地図上に表示される海外リスク共有サービス。
地域別にどのような事件が起きているか視覚的に把握でき、旅の行き先を決める参考にもなります。
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南アフリカの治安に関する「よくある質問」
「実際、南アフリカってどうなの?」「旅行して大丈夫なの?」という疑問を抱く方は多いはずです。
ここでは、南アフリカ旅行を検討している人がよく検索する質問と、その正直な答えをまとめました。
南アフリカのケープタウンは危険ですか?
一概には言えませんが、「エリアによる」のが正解です。
ケープタウン中心部や観光地(テーブルマウンテン周辺、ウォーターフロントなど)は日中なら比較的安全ですが、夜間や裏通り、スラムに近いエリアでは急に治安が悪化します。特に注意すべきは、
- ケープ・フラッツ(Cape Flats)地区:ギャング抗争が頻発
- ローカルタウンシップ:観光目的での単独訪問は避けるべき
とはいえ、観光客が多い場所には警備員や警察も配置されており、基本的な防犯意識があれば安全に楽しめる都市でもあります。
南アフリカ旅行で気をつけることは?
とにかく意識しておきたいのは、「油断=被害」につながるということ。
気をつけるべきことを3つに絞るなら、
- 行動範囲を事前に調べ、危険エリアには近づかない
- 高価なものを身につけない・見せない
- 夜間の移動は配車アプリまたは信頼できるホテル手配の車を使う
特に女性旅行者は、服装・時間帯・移動手段に気を配ることで、かなりのリスクを減らすことが可能です。
ヨハネスブルグは世界一危険な都市ですか?
ヨハネスブルグは「危険な都市ランキング」で毎年上位に入っている都市のひとつです。
とはいえ、「世界一危険」と断定するのは少し極端かもしれません。
ただし、以下の点は事実です。
- 世界トップクラスの殺人・強盗発生率
- 治安の悪い地域が広範囲に存在し、区別が難しい
- 警察の対応が遅く、自己防衛が基本
つまり、「特定の地域では極めて危険である」ことは間違いなく、旅行者が一歩間違えると命に関わるケースもあるため、慎重に行動するべき都市であることに変わりはありません。
まとめ|南アフリカは治安の悪い地域に行かなければ、女性でも問題なし!
南アフリカは確かに「治安が悪い」という印象を持たれやすい国です。
実際、ヨハネスブルグや一部のタウンシップ、ギャングの影響が強い地域では、犯罪率が高く、女性旅行者にとって油断できないエリアが存在するのは事実です。
しかし、だからといって南アフリカ全土が危険というわけではありません。
- ケープタウンやプレトリア、ダーバンなどの観光都市では、安全に配慮された地域が整備されている
- 配車アプリ、信頼できる宿泊施設、服装や行動に対する意識を高めれば、多くのリスクを回避できる
- 外務省などの公的情報を活用し、最新の安全情報にアクセスしておくことも重要
つまり、「南アフリカ=危険」ではなく、「南アフリカは賢く旅すれば安全に楽しめる国」というのが本質です。
特に女性旅行者にとっては、「行動」「服装」「時間帯」の3つを意識するだけで、安全度は格段に上がります。
リスクを知り、適切に対処することで、南アフリカならではの魅力──絶景、野生動物、美しい海岸線、人々の温かさ──を十分に堪能することができるはずです。
しっかり準備をして、後悔のない素敵な旅を実現してくださいね。
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