自然の宝庫として知られ、旅行先としても高い人気を誇るニュージーランド。
透き通る湖や山々、フレンドリーな人々に囲まれて、のんびりとした旅を楽しむことができます。
しかし、治安が良いとされるこの国にも、実は旅行前に知っておくべき注意点がいくつも存在します。この記事では、
- 現地でよくあるトラブルや危険エリア
- 文化的なマナー
- 厳しい持ち込み制限
まで、旅行者が事前に知っておくべき重要なポイントをわかりやすく解説していきます。
ニュージーランド旅行で気をつけたい5つの注意点

ニュージーランドは比較的安全で親しみやすい国といわれていますが、旅行者にとっては意外な“落とし穴”がいくつか存在します。
日本とは異なる自然環境や社会習慣があるため、「うっかり」や「知らなかった」では済まされないトラブルも発生しかねません。ここでは、ニュージーランドを旅するうえで覚えておきたい基本の注意点を5つ紹介します。
日差しが非常に強い(紫外線が日本の約7倍)

ニュージーランドの紫外線は、オゾン層の薄さや空気の澄み具合などの影響で日本の約7倍以上とも言われています。特に夏季(12月〜2月)は日差しが非常に強く、短時間の外出でも日焼けや熱中症になる危険があります。
旅行者が心がけたい対策は以下の通りです。
- SPF30以上の日焼け止めをこまめに塗る
- 帽子やサングラスで顔と目を守る
- UVカットの長袖やラッシュガードを着用する
- 水分をこまめに補給する
現地の人々も「Slip, Slop, Slap(シャツを着て、日焼け止めを塗って、帽子をかぶる)」という標語を徹底しており、紫外線対策は文化として根付いています。
交通ルールの違いに注意(右ハンドル・左側通行)
ニュージーランドでは日本と同じく左側通行・右ハンドルですが、交差点のルールや一時停止の仕組みなど、細かな違いがいくつかあります。特に注意したいのがラウンドアバウト(環状交差点)で、進入時には必ず右側からの車に優先権があります。
また、田舎道では動物の飛び出しや急な悪天候も多く、レンタカーでのドライブ中に事故が起こるケースも少なくありません。
- 運転前にNZの道路ルールを予習しておく
- 無理な長距離運転は避け、こまめに休憩をとる
- マニュアル車が多いため、オートマ車を予約するのが無難
旅行中の移動は自由度が増す反面、リスクも伴います。安全第一で、周囲の交通に常に目を配るよう心がけましょう。
バイオセキュリティ(入国時の持ち込み制限が厳しい)
ニュージーランドの自然環境はとても繊細で、外来の病原菌や害虫が持ち込まれることを非常に警戒しています。そのため、入国時のバイオセキュリティチェックは世界でもトップクラスに厳しいとされています。
- 生鮮食品、果物、肉類、乳製品
- 種子、植物、木製品(竹製の箸なども対象)
- 土が付着した靴やキャンプ用品
違反した場合、数百ドルの罰金が即時で科されることもあります。申告を迷ったら、必ず「Yes」として正直に申告するのが安全です。係員は親切で、内容を確認した上で問題がなければ通してくれます。
商店やレストランの閉店時間が早い
ニュージーランドでは、商店やカフェ、スーパーの閉店時間が日本に比べてかなり早いです。平日でも夕方5時〜6時には閉まってしまう店が多く、地方都市ではそれがさらに顕著です。
- 夜8時すぎにレストランに行ったらすでに閉店していた
- スーパーに夕食の食材を買いに行ったらドアが閉まっていた
- 日曜日は休業の店が多くて食事難民になった
対策としては、早めの行動と事前の営業時間チェックが必須。観光地では営業が長めの場所もありますが、それでも日本ほどの遅さには期待しない方がよいでしょう。
公共交通機関は少なく、運行頻度も低い

都市部を除き、ニュージーランドの公共交通機関は本数が少なく、時間も正確ではないことが多いです。バスや電車の遅延・運休は日常的にあり、田舎ではそもそも交通手段がない場所も珍しくありません。
- バスの時刻表は事前にアプリやサイトで確認
- レンタカーやツアー参加を上手に使い分ける
- Uberや地元タクシーは都市部限定なので過信は禁物
「のんびりした国」ならではのペースに合わせて、余裕を持った移動計画を立てるのが、ストレスのない旅の秘訣です。
【要注意】ニュージーランドで避けるべき危険エリア3選

ニュージーランドは比較的安全な国として知られていますが、全く危険がないというわけではありません。
特に都市部では軽犯罪や深夜の治安悪化が報告されており、観光客が思わぬトラブルに巻き込まれるケースも少なくありません。
ここでは、旅行者が特に注意しておくべき代表的な危険エリアを3つ紹介します。
オークランドはギャングの存在や軽犯罪が比較的多い
ニュージーランド最大の都市オークランドは、観光客にも人気の都市ですが、その規模の大きさに比例してギャングや軽犯罪の発生率も高めです。特に、南オークランド(South Auckland)は、地元メディアでも治安が懸念されるエリアとしてたびたび取り上げられています。
報告されている主なトラブルには以下のようなものがあります。
- 駐車中の車を狙った窃盗(車上荒らし)
- 観光客を狙ったスリや置き引き
- ギャング間の抗争に関連した突発的な暴力事件
日中は比較的安全ですが、夜間は人通りの少ない場所を避け、ホテルの周辺であっても油断しないことが大切です。
CBD(中心市街地)周辺の一部では夜、酔っ払いやスリに注意
CBD(Central Business District)はショッピングや食事を楽しめる便利なエリアですが、夜になると酔客が増え、スリや暴力事件のリスクが高まることがあります。特に週末の夜は、ナイトクラブやバーから出てきた若者たちによるトラブルが発生しやすい時間帯です。

警察も警備を強化してはいますが、混雑している場所では以下の対策が重要です。
- 貴重品はリュックではなく、前で持てるショルダーバッグに入れる
- スマホや財布をテーブルの上に置きっぱなしにしない
- 夜遅くの一人歩きは避け、配車アプリやタクシーを利用する
昼と夜で雰囲気が大きく変わるエリアなので、「明るい時間に訪れて印象が良かったから」と油断して夜も同じ感覚で出歩かないようにしましょう。
ニュージーランドの首都ウェリントンでは軽犯罪が多発
ウェリントンはこぢんまりとした首都でありながら、公共交通機関の少なさや住宅密集エリアの構造により、軽犯罪の温床となっている面もあります。特に、バックパッカー向けの宿泊施設が密集する地区では、観光客同士のトラブルや盗難が起きることもあります。
- ホステル内での盗難(鍵のかかるロッカーを使用すべき)
- 公園や駅周辺でのスリ・物乞いへの対応に困惑するケース
- 酔っ払いから絡まれるなどの軽度なトラブル
一見落ち着いた街並みに見えても、見知らぬ人から声をかけられた際は警戒を忘れず、夜間の移動はできるだけ控えるのがベターです。特に女性の一人旅の場合は、他の旅行者と行動を共にするなど、安全意識を高く持つことが重要です。
ニュージーランド特有?マオリ文化に注意

ニュージーランドを訪れる上で、現地の自然や都市観光と並んで大切にしたいのがマオリ文化への理解と敬意です。
マオリはニュージーランドの先住民族であり、彼らの文化や信仰は今も社会のさまざまな場面で息づいています。
旅行者としては、知らずにマナー違反をしてしまわないよう、事前に最低限のルールを知っておくことが必要です。
「タプ(tapu)」=聖なるものには触れない
マオリ文化には「tapu(タプ)」という概念があります。これは「聖なるもの」「禁忌」とされるもので、触れたり侵入したりすることがタブーとされている場所や物、行為を指します。たとえば、特定の石、山、泉、木、墓地などがタプとされており、知らずに立ち入ると無礼と見なされることがあります。
以下のような行動は避けるようにしましょう。
- 山や岩の上に登る(特に神聖視されている山)
- 墓地でふざけたり、大声を出す
- タプとされる場所で食事をする
「ただの自然景観だと思っていたら、実はマオリの聖地だった」というケースもあるため、地元のツアーガイドがいる場合は、事前に確認しながら行動するのが安心です。
「マラエ(Marae)」=マオリの集会所は敬意を持って訪問
マオリの集会所「マラエ(Marae)」は、先祖の精神が宿る神聖な場所であり、コミュニティの中心として様々な儀式や会議が行われます。観光で訪れる際には、招待を受けた場合やガイドツアーに参加する以外では勝手に敷地内に入らないようにするのが原則です。
また、マラエを訪れる際には服装や態度にも配慮が求められます。露出の多い服やサンダルでの訪問は控え、静かに敬意をもって接するよう心がけましょう。
- 入口で靴を脱ぐ(必要な場合)
- 許可を得てから建物内に入る
- 話をするときは落ち着いた声で
マオリ文化に触れることは、ニュージーランド旅行の大きな魅力の一つです。正しい知識と敬意を持って接すれば、より深くその文化を理解でき、忘れられない経験になることでしょう。
写真撮影は必ず許可を得る

マオリ文化に関する場所や儀式、彫刻などを撮影する場合には、必ず撮影の可否を確認することが大切です。中には写真を撮ることで「魂を奪われる」と信じられているものもあり、特に儀式の最中やマラエの内部は撮影禁止となっているケースが多くあります。
また、道端にある伝統的な彫刻や墓標、記念碑もマオリにとっては特別な意味を持つものです。無断でカメラを向けるのではなく、まずは一言尋ねてから撮影するようにしましょう。
- 撮影禁止の表示がある場合は必ず従う
- マオリ関係者やガイドに撮影して良いか確認する
- 子どもや年配者を撮る場合も、本人の許可を得るのが礼儀
無意識に文化を傷つけてしまわないためにも、「撮る前に聞く」というシンプルな習慣を心がけることが大切です。
【まとめ】ニュージーランド旅行を安全に楽しむための基本マナーと注意点
ニュージーランドは、自然、文化、人の優しさと、あらゆる魅力が詰まった旅行先です。しかし、いくら治安が良く見えても、「知らなかった」では済まされない文化の違いやルールがあります。紫外線の強さや交通ルールの違い、持ち込み制限、閉店時間の早さ、そして公共交通の不便さなど、日本とは異なる点をきちんと理解しておくことが、トラブルを避ける第一歩です。
また、都市部では軽犯罪が増加傾向にあり、マオリ文化への無理解がマナー違反になることもあります。安全で充実した旅にするためには、情報を集め、現地のルールや慣習を尊重する姿勢が何より大切です。準備をしっかり整えれば、ニュージーランドは心から楽しめる、忘れられない体験を与えてくれる国です。