アフリカ大陸の東に位置するケニア。雄大な自然とサファリ体験、豊かな文化と野生動物との出会いは、世界中の旅行者を魅了してやみません。
しかし一方で、「ケニアは危険」「治安が悪いからやめておいたほうがいい」といった声があるのも事実です。
この記事では、ケニア旅行における危険とされる要素をリアルに紹介しながら、実際に何が危険で、何をどうすれば安全に旅行できるのかを徹底解説します。
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ケニア旅行で注意すべき危険エリア!実態を解説
「ケニア=危ない」というイメージは、日本に限らず世界中の旅行者の間に存在しています。
その背景には、都市部の犯罪報道、スラム街での暴動、さらには武装勢力の活動など、メディアが伝えるセンセーショナルな情報があるからです。
この章では、ケニアの中でも特に「危険」とされやすい要素を、3つの観点から詳しく見ていきます。
ナイロビ中心部で発生している強盗・スリ・車上荒らし

ケニアの首都ナイロビは、発展著しい経済都市であり、ビジネスや観光の拠点として多くの外国人が訪れる場所です。
一方で、都市ならではの犯罪も発生しており、特に多いのがスリ、ひったくり、そして車上荒らしです。
知人がナイロビの大きな公園を歩いていたら10人くらいのケニア人がわーーっと襲ってきて、パンツ一丁に。貴重品はもちろん、靴もすべての物を取られた。平和そうに見えても公園は危険。リスクメイトの投稿より
例えば、信号待ちで停車中の車に石を投げて窓ガラスを割り、中に置かれたカバンやスマホを一瞬で奪って逃げる手口が報告されています。また、ショッピングモール周辺やホテルの出入り口などでも、外国人旅行者を狙った巧妙なスリ被害が続いています。

特に注意すべきは次のような場面です。
- 混雑したナイロビ中心部の歩道をスマホを見ながら歩く
- 荷物を後部座席に置いたまま短時間駐車する
- 空港やホテル前で荷物の整理中に話しかけられる
対策としては、目立つバッグや高価なカメラを露出しないこと、スマホを手に持ったまま歩かないこと、荷物は常に身から離さないことが基本になります。
報道が集中するスラム街での誘拐・武装犯罪の発生例
ナイロビには「キベラ」「マザレ」など、アフリカ最大級とされるスラムが存在しており、そこでは貧困と社会的不安定さが重なり、武装犯罪や誘拐事件がしばしば報告されています。
2007年年末〜2月下旬まで、大統領選挙後の暴動が起きました。ナイロビでは銃声が鳴り響いたりでほぼ外出できず、ホテルに缶詰状態です。1000人以上が亡くなりました。普段は温厚でも、一度火がつくと一般の人でも攻撃的になったりします。大統領選挙前後は治安の悪化がある場合があるので十分に留意してください。リスクメイトの投稿より
特に外国人がターゲットとなるケースでは、身代金目的の誘拐や、暴行・強奪といった深刻な被害が起きている例もあり、外務省からも「立ち入らないように」との明確な警告が出されています。
観光目的でスラムを訪れたい場合は、地元ガイド同行か、公認ツアーに限定することが絶対条件です。
自己判断で立ち入るのは、日中であっても非常にリスクが高く、決しておすすめできません。
武装勢力が活動する北東部で起きているテロの実態
ケニアの治安の中でも、特に深刻な懸念があるのが北東部、特にソマリア国境に近い地域です。
このエリアでは、過去にイスラム過激派組織「アル・シャバーブ」による爆破テロ、銃撃、誘拐事件が複数発生しており、現在も外務省はレベル3〜4(渡航中止勧告〜退避勧告)を継続しています。

たとえば2015年、ガリッサ大学で発生した大量殺害事件(ガリッサ大学襲撃事件)では、学生150人以上が犠牲となり、世界中に大きな衝撃を与えました。
このような事件が発生する背景には、国境をまたぐ過激派の浸透や、政府の治安維持力が十分に届いていないという地理的・政治的な問題があります。
旅行者にとって重要なのは、これらの危険地域に決して近づかないことです。
地図で見るとナイロビやマサイマラなどの観光地と同じ国内にあるため、「ついでに足を延ばしてみよう」と思ってしまうかもしれませんが、それは極めて危険な判断です。
また、北部ルートを利用した陸路での国境越え(エチオピア・ソマリア方面)も非常にリスクが高く、必ず事前に外務省の情報を確認することが必須です。

ケニア旅行中に犯罪被害に遭いやすいシチュエーション

ケニアでは、観光客がターゲットとなる犯罪が都市部を中心に発生していますが、その多くは特定の場所・時間帯・行動パターンで起きています。
この章では、旅行者が実際に被害に遭いやすい状況を例とともに解説し、具体的な対策も紹介していきます。
夜間の一人歩きやタクシー利用中の強盗事件
ケニア、特にナイロビでは日が暮れた後の外出は極力避けるのが鉄則です。
夜間は街灯が少ない場所も多く、人通りが途絶えると強盗やひったくりに遭うリスクが一気に高まります。
友人が寝ている時に大きな音がして、起きると拳銃が頭にあったそうです。 寝室までに何箇所か、何重にも渡って南京錠があったそうでしたが、全て破られたそうです。全ての貴重品を盗まれましたが命は無事でした。強盗などに出会った際は抵抗せずに全ての貴重品を渡してください。命が大事です。リスクメイトの投稿より
さらに注意が必要なのが、流しのタクシー利用中に起きる「車内強盗」や「連れ去り」といった犯罪です。
運転手とグルになった人物が途中で乗り込み、乗客を脅してATMで現金を引き出させる――そんな被害例も少なくありません。
- 夜間の移動は極力避け、信頼できるホテルの送迎かUberなどの配車アプリを使う
- タクシーに乗る前に、車体番号や運転手の顔写真が確認できる手段を選ぶ
- 車内ではスマホや財布を見せず、後部座席に座ることも基本です
公共交通「マタツ」内でのスリ・暴行
ケニアで広く利用されている乗り合いバス「マタツ(Matatu)」は、現地の人にとっては便利で安価な交通手段ですが、旅行者にはハードルが高い交通機関でもあります。
理由は以下のとおりです。
- 内部が非常に混雑していてスリが多発
- 窓やドアが壊れている車両もあり、安全面に不安がある
- 車内でのトラブル(暴言や暴力)に対してドライバーが関与しないこともある
特に混雑する朝夕の時間帯は、スリグループによる組織的な犯行が目立ち、気づいたときには財布もスマホも消えていた、という事例が後を絶ちません。

旅行中はマタツを無理に利用せず、タクシーアプリや専用ツアー車両を選ぶのが無難です。
観光客を狙った偽ガイドによる高額請求

ナイロビ国立公園やマサイマラなどの観光地では、「ガイドを名乗る現地人」が話しかけてきて、勝手に案内し、高額のチップや料金を要求するケースが後を絶ちません。
中には公園の入り口で堂々と観光客に声をかけ、「入園料を立て替えてやる」と言いながら、後から法外な金額を請求するケースもあります。こうしたトラブルは、
- 個人で観光地に行こうとする旅行者
- ツアーを利用せずに「自由に回りたい」という人
に多く見られます。トラブルを回避するためには
- 公認ガイド付きの現地ツアーに申し込む
- ホテルや信頼できる旅行会社から手配された車とガイドを利用する
といった対策が必要です。
ケニア旅行で気をつけたい危険生物

ケニアはサファリツアーの本場として知られ、ライオンやゾウ、キリンといった野生動物と出会える夢のような旅先です。
しかしその反面、人間にとって危険となる生物も少なくなく、観光の場面でも注意が必要なシチュエーションがあります。
この章では、特に注意すべき3種類の「危険な生き物」について解説し、それぞれの対策も紹介します。
サファリで出没するライオン

ケニア旅行のハイライトとも言える「サファリ」では、野生のライオンと遭遇する可能性も十分にあります。
しかし、自然の中で暮らすライオンは当然ながら訓練された動物園の動物とはまったく異なり、予測不能な存在です。
特に危険なのは以下のような状況です。
- 車の外に出て写真を撮ろうとする
- 静寂を破って大声を出す、動き回る
- 子どものライオンを見つけて近づこうとする
これらの行動は、ライオンに「脅威」や「獲物」と認識されるリスクがあり、絶対に禁止されています。サファリ中は、
- 車から絶対に降りないこと
- 案内するレンジャーやガイドの指示に従うこと
- 静かに観察すること
が徹底的に求められます。
民家・宿泊施設周辺で出没する毒蛇やサソリ
ライオンやゾウといった大型動物だけでなく、ケニアには毒を持った小型生物も生息しています。
特に田舎の宿泊施設や民家周辺では、夜間や朝方に毒蛇やサソリが出没することがあるため、注意が必要です。
- 夜間は靴を履かずに外に出ない
- ベッドの中に虫やサソリがいないか確認する習慣を持つ
- 靴や荷物の中に虫が入っていないか、履く前にチェックする
これらは現地の人々の「生活の知恵」でもあり、観光客にとっても同じように意識すべきポイントです。
もしも刺されたり噛まれたりした場合には、現地の病院で速やかに抗毒処置を受けることが重要です。
黄熱病・マラリアなど蚊を媒介とした感染症
ケニア旅行で最も現実的かつ無視できない生物リスクが、蚊を介して感染する病気です。
中でも注意すべきは、
- マラリア:発熱、頭痛、関節痛などの症状。重症化すると命に関わる
- 黄熱病:予防接種が必要な感染症。特に内陸部でリスクが高い
これらの感染症は、「予防接種+蚊対策」の2本柱で防ぐことができます。具体的には、
- 渡航前に黄熱病の予防接種(イエローカード)を済ませておく
- 夕方〜夜間は長袖・長ズボンの着用を徹底
- DEET配合の強力な虫除けスプレーを使用する
- 蚊帳やエアコン付きの宿泊施設を選ぶこと
蚊による感染症は「自然の一部」でありながら、旅行者にとって大きな健康リスクとなるため、事前の備えは決して怠ってはいけません。
ケニア観光で注意が必要な行動・服装・習慣

ケニア旅行では、治安や自然環境だけでなく、現地の文化や価値観を尊重することが安全な滞在に直結します。
とくにイスラム教徒が多く住む地域や、治安の不安定な都市部では、日本では当たり前と思っている行動が、トラブルの原因になることもあるのです。
この章では、観光客がやってしまいがちな「誤解される行動」や「避けるべき服装」、そして「現地でのマナー」について解説します。
軍関連施設を撮影して逮捕される可能性も
ケニアでは、空港や軍事施設、政府機関の建物などを無断で撮影することは厳しく禁止されています。
実際に観光客が「知らずに撮ってしまった」ことで、警察に取り押さえられた例もあり、最悪の場合は拘束や罰金処分に発展することがあります。たとえば、
- 空港の滑走路や建物を撮影
- 警察官や兵士の姿を無断でカメラに収める
- 官公庁や軍用車両にカメラを向ける
このような行為は、「スパイ行為」とみなされる危険性があるため非常に注意が必要です。
対策としては、観光地以外ではカメラやスマホのシャッターをむやみに切らず、「撮っていいですか?」と確認を取る姿勢が大切です。
ブランド品や派手な装いでスリ・誘拐の対象になる
ケニアの都市部、特にナイロビでは、外見が派手だったり、高級なブランドバッグや時計を身につけている人は、スリや誘拐の標的になりやすいとされています。
現地では「観光客=お金持ち」という認識があり、富を強調するような服装は、犯罪の引き金になりかねません。
以下のような装いは避けるのが無難です。
- 高価なネックレスや腕時計をつけたまま外出
- ハイブランドのロゴが大きく入った服やバッグ
- 鮮やかすぎるカラーコーディネート
現地の雰囲気に馴染むよう、落ち着いた色の服、目立ちにくいデザイン、軽装かつ実用的なコーディネートが推奨されます。
また、スマホを手に持って歩くことも控え、貴重品はボディバッグなどで肌身離さず管理しましょう。
知らないと危ない?ケニアの文化に関連する危険情報

治安や衛生面といった「物理的な危険」だけでなく、ケニアでは文化の違いによるトラブルも意外と多く発生しています。
旅行者が悪気なく取った言動が、現地では無礼や敵意と受け取られてしまうケースもあり、「居心地の悪さ」や「サービスの低下」にもつながることがあります。
この章では、ケニアの価値観・人間関係・常識を理解し、「嫌われない観光客」として振る舞うコツを紹介していきます。
スワヒリ語の挨拶を無視して冷遇されたケースも
ケニアではスワヒリ語が日常のコミュニケーションの中心となっており、あいさつを非常に大切にする文化があります。
たとえば「ジャンボ!(こんにちは)」や「ハバリ?(元気?)」と声をかけられる場面は多く、それに応じず無視してしまうと、「無礼だ」「感じが悪い」と受け取られてしまうことがあるのです。
特に地方に行けば行くほど、挨拶のやり取りが重視され、一言交わすことで信頼が生まれることも珍しくありません。
- ジャンボ(Jambo):こんにちは
- アサンテ(Asante):ありがとう
- ポレポレ(Pole Pole):ゆっくりね
これらを笑顔で返すだけでも、現地の人々の対応が格段にやさしくなることを実感できるはずです。
無愛想な態度が「敵意」と受け取られた事例
日本では「丁寧=静か」「礼儀=控えめ」という文化がありますが、ケニアではその逆。
笑顔や明るい声かけが「礼儀」とされる国であり、無表情や淡々とした対応は「感じが悪い」「何か不満があるのか?」と誤解されることがあるのです。
実際に、現地スタッフに無愛想な対応をした日本人旅行者が、「サービスを受けづらくなった」「必要なサポートを得られなかった」という声もあります。
つまり、ケニアでは「人との距離感を詰める」ことが安全にもつながるのです。
ちょっとした会話、目を合わせる、軽く笑う――これだけで関係性は驚くほどスムーズになります。
現地では「観光客=お金持ち」と見なされる
ケニアでは、日本人を含む観光客は基本的に「経済的に豊かな存在」と認識されています。
これは貧富の格差が大きいケニア社会において、外国人を見る目が「ビジネスチャンス」や「施しの対象」として働く場面もあるからです。そのため、
- 「ちょっと手伝ったからチップをくれ」
- 「困っているから寄付してほしい」
- 「お土産を買ってくれ」
といったお願いを受けることは日常茶飯事です。
もちろんすべてを断っても構いませんが、重要なのは毅然とした態度で断ること、そしてそれを「感じよく」伝えることです。
「ノーサンキュー。でもありがとう!」
この一言が、相手に不快感を与えず、トラブルを回避する最良の方法です。
ケニア旅行の危険性に関するよくある質問
ケニアに行きたい気持ちはあるけど、やっぱり治安が気になる…。
そんな旅行者のために、ここでは実際によく検索されている「ケニア旅行の安全性」に関する3つの代表的な疑問に対して、現実的で信頼できる回答をしていきます。
ケニアの治安は現在どうなっていますか?
結論から言えば、「旅行者が訪れるエリアに限れば、注意を怠らなければ観光可能」です。
たとえば、ナイロビ市街やマサイマラ国立保護区、ナクル湖、アンボセリなどの主要観光地では、政府や観光業者によって警備が強化されており、比較的安全に観光できます。
ただし、以下のようなエリアは外務省や現地メディアでも渡航自粛や警戒が呼びかけられている地域となっています。
- 北東部(ガリッサ、ワジール、マンダ島など)
- ソマリア国境付近
- 一部のスラム街(ナイロビのキベラ、マザレなど)
これらの地域には立ち入らず、旅行前には必ず外務省「海外安全ホームページ」や現地の大使館から最新情報をチェックしてください。
ケニア観光で気をつけるべき時間帯や場所は?
最も避けるべきは、夜間(特に午後8時以降)の一人歩きです。
日中と違って人通りが少なくなり、強盗やひったくりに遭うリスクが一気に高まります。
また、照明のない路地や郊外の住宅街、スラムの境界地域などでは、昼間でも「通らない」のが正解です。
- 人気のないバス停や公共施設の裏側
- 停車中の車内(スマホを見せると狙われやすい)
- ATM利用時(後ろからの窃盗や監視に注意)
旅行中は、できるだけ昼間に行動を集中させ、安全なホテル・ツアー・送迎サービスを利用することがポイントです。
ケニアを安全に旅するには何を準備すべき?
安心・安全なケニア旅行のために、準備すべきアイテムや手続きは以下のとおりです:
- 海外旅行保険への加入(医療・盗難補償あり)
- 黄熱病予防接種(入国時に証明書提示を求められることも)
- 虫よけ・マラリア対策(蚊帳、スプレー、薬など)
- 配車アプリ(Uber、Bolt)を事前インストール
- ローカルSIMカード or 海外eSIM(現地通信手段の確保)
- スワヒリ語の基本フレーズと文化理解
また、ツアーを利用する際は、信頼できる会社を選ぶことがとても大切です。
日本語対応ガイドがいる現地ツアーや、日本から事前に予約できるサービスを使えば、より安心して旅を楽しむことができるでしょう。
まとめ|ケニア旅行は準備と配慮で安全に楽しめる
「ケニア旅行=危険」と感じる人は多いかもしれません。
確かに、ナイロビ市内の強盗やスリ、スラム街での誘拐事件、北東部での武装勢力によるテロなど、報道される内容は決して楽観できるものではありません。
しかし、そうしたリスクの大半は、限られた地域や特定の状況下に集中しているという事実も見逃せません。
観光客の多くが訪れるマサイマラやアンボセリなどの国立公園、リゾートエリアでは警備が強化されており、一定のルールと注意を守れば、安全に楽しめる環境が整っています。
この記事で紹介してきたように、ケニア旅行を安全に楽しむためには、
- 治安情報を事前に調べること
- 危険地域に近づかない判断力
- 文化・マナー・服装への理解と配慮
- 交通・自然・言語に関する知識の備え
- 保険・接種・装備といった物理的な準備
これらを揃えることで、「怖い国」から「最高にエキサイティングな旅先」へとケニアは姿を変えてくれるはずです。
アフリカの大地に降り立ち、サバンナを駆ける動物を目の前にし、ローカルマーケットで笑顔のケニア人と出会う――
そんな貴重な体験は、きっと一生忘れられない旅になるでしょう。
「備えあれば憂いなし」。ケニアは危険な国ではなく、「準備のいる国」。
そのことさえ理解していれば、あなたの旅はきっと素晴らしいものになります。
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