中南米の治安が悪い国ランキング【2025年版】治安が良い国も紹介

中南米の治安ランキングのアイキャッチ

南米と聞くと、陽気な音楽、美しい自然、カラフルな文化を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、その一方で「治安が悪い」との声も多く、旅先として選ぶ際には慎重になる人も少なくありません。実際に南米には、観光地として魅力的でありながらも犯罪や政治的不安定さを抱えている国が複数存在します。

この記事では、最新の国際治安データや日本外務省の情報などをもとに、「治安が悪い」とされる南米諸国をランキング形式で紹介し、さらに中南米の中でも治安が良いとされる国々を対比としてご紹介します。

また、なぜこれほどまでに治安に差があるのか、その背景にある社会的・経済的な理由も丁寧に解説し、旅行者が実際に注意すべきポイントをわかりやすくお届けします。

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目次

最新データで見る!南米の治安が悪い国ランキングTOP5

中南米の危険マップ(外務省)
指標内容
殺人発生率(10万人あたり)国際的に治安評価に用いられる主要指標。高いほど危険度が高い。
外務省の危険情報レベル(最大4)日本外務省が公表する治安警戒レベル(レベル3以上は渡航中止勧告)
犯罪多発都市数凶悪犯罪が多発する都市の数(首都・観光地含む)
誘拐・強盗・窃盗件数現地報告件数(推定も含む)
国際治安評価(指数)NumbeoやGlobal Peace Indexなどの治安スコアに基づく評価(10点満点で数値化)

このランキングは、各国の「殺人発生率(10万人あたり)」「暴力犯罪件数」「誘拐・強盗などの報告件数」「外務省の危険情報レベル」「国際NGOによる治安評価」などの複数指標をもとに総合的に判断したものです。

とくに中南米では、単に犯罪件数が多いだけでなく、ギャングの支配力や警察の機能不全など、構造的な問題が治安の悪化に直結している場合も多く、そうした要素も考慮に入れています。

1位:ベネズエラ

ベネズエラ
指標数値
殺人発生率約36.7人/10万人(2024年)
外務省危険情報レベルレベル4(全土)
犯罪多発都市数3都市以上(カラカス、マラカイボ、バレンシア等)
誘拐・強盗・窃盗件数高頻度(特に外国人対象)
国際治安評価2.1/10(非常に低い)

ベネズエラは、南米で最も治安が悪化している国の一つです。経済崩壊と政府の腐敗が続き、日常的な物資不足が人々を犯罪へと追いやっています。ギャングだけでなく、警察や軍の一部までが収賄や窃盗に関与しているとされ、治安の崩壊は国家全体に及んでいます。

特に首都カラカスでは、外国人観光客が空港から出た直後に強盗や誘拐に遭うケースもあり、日中であっても安心して移動できるエリアは限られています。人通りがある場所ですら犯罪が起きるため、現地ではホテルから一歩も出ない旅程を選ぶ観光客も少なくありません。

2位:ホンジュラス

ホンジュラス
指標数値
殺人発生率約25.3人/10万人(2024年)
外務省危険情報レベルレベル3(中部・北部)
犯罪多発都市数2都市以上(サンペドロスーラ、テグシガルパ)
誘拐・強盗・窃盗件数非常に高い
国際治安評価2.8/10

ホンジュラスは中南米の中でも特にギャングの影響力が強い国のひとつです。MS-13やバリオ18といったギャング集団が社会の中に深く根付いており、若年層の加入率も高いことで知られています。

殺人率においても常に世界上位を維持しており、特に北部の商業都市サンペドロスーラでは、公共交通の乗車中に発生する武装強盗が日常茶飯事です。観光地という概念すら成立しにくい現実があり、外国人にとって極めてリスキーな渡航先です。

3位:ブラジル

ブラジル
指標数値
殺人発生率約17.9人/10万人(2024年)
外務省危険情報レベルレベル2〜3(都市部とファベーラ)
犯罪多発都市数4都市以上(リオ、サンパウロ、レシフェ、サルヴァドール)
誘拐・強盗・窃盗件数高頻度
国際治安評価3.2/10

ブラジルは国土が広大で、地域によって治安に大きな差がある国です。しかし、リオデジャネイロのファベーラやサンパウロの郊外では、武装ギャングによる支配が続いており、警察との銃撃戦が発生することもあります。

観光客が多く集まるコパカバーナやイパネマなどの有名ビーチでも、日中にスリや強盗が起きるため、油断は禁物です。さらに、公共交通機関内でのスマホ使用や、夜間の外出もトラブルに巻き込まれるきっかけになります。

4位:エルサルバドル

エルサルバドル
指標数値
殺人発生率約1.15人/10万人(2025年)
外務省危険情報レベルレベル1(全土)
犯罪多発都市数1都市(サンサルバドル)
誘拐・強盗・窃盗件数減少傾向
国際治安評価5.0/10

エルサルバドルは、かつては世界で最も危険な国の一つとされていましたが、近年では治安が大幅に改善しています。2025年の殺人発生率は過去最低となり、1.15人/10万人という中南米では異例の低水準を記録しました。これは、ナジブ・ブケレ大統領の強硬な治安対策の成果とされており、2022年以降にギャングメンバーを一斉逮捕し、事実上の封じ込めに成功したためです。

とはいえ、治安改善の裏には人権侵害の懸念も根強く、政府による報道規制や裁判手続きの簡略化など、民主主義のバランスを巡る批判も存在します。さらに一部のスラムや市街地ではまだ油断できないエリアもあり、旅行者は夜間の外出や人通りの少ない地域での行動には注意が必要です。

5位:コロンビア

コロンビア
指標数値
殺人発生率約21.5人/10万人(2024年) (statista.com)
外務省危険情報レベルレベル2〜3(一部都市や山間部)
犯罪多発都市数3都市以上(カリ、メデジン、ボゴタの一部)
誘拐・強盗・窃盗件数高頻度(特に夜間と郊外)
国際治安評価3.5/10

コロンビアは長らく麻薬戦争と内戦に悩まされてきましたが、ここ数年で観光地としての開発が進み、外からの評価も改善されつつあります。ただし、地方都市や山岳部、国境地帯ではゲリラ残党や麻薬カルテルの活動が続いており、依然として旅行者にとってはリスクの高い地域です。

ボゴタやメデジンといった主要都市でも、治安はエリアによって大きく異なり、観光エリアから数ブロック離れただけでスラムに入り込んでしまうこともあります。特に夜間の移動は危険度が高く、現地ガイドや信頼できる交通手段を使うなど、慎重な行動が求められます。

意外と平和?中南米の治安が良いランキングTOP5

治安の悪さばかりが注目されがちな中南米ですが、実は犯罪発生率が低く、観光にも適した安全な国もいくつか存在します。この章では、最新の殺人率、外務省の危険情報、国際治安評価をもとに、中南米で比較的治安が良いとされる国々をランキング形式で紹介します。

指標は先ほどの危険国ランキングと同様の5項目です。

指標説明
殺人発生率(10万人あたり)犯罪率のベースとなる最重要データ
外務省危険情報レベル(最大4)レベル1または2の国を安全圏として評価
犯罪多発都市数凶悪事件が報告されている都市の数
誘拐・強盗・窃盗件数犯罪報告の件数と密度
国際治安評価(指数)Global Peace IndexやNumbeoなどの評価

1位:ウルグアイ

指標数値
殺人発生率約8.3人/10万人(2024年)
外務省危険情報レベルレベル1(全土)
犯罪多発都市数1都市(モンテビデオの一部)
誘拐・強盗・窃盗件数中程度(観光地でのスリ中心)
国際治安評価7.8/10

「南米のスイス」とも呼ばれるウルグアイは、長年にわたり政治の安定、教育レベルの高さ、平等主義を保ってきた国です。首都モンテビデオをはじめとする都市部でも、歩いて観光できるほど安全な雰囲気があり、家族連れの観光客にも人気があります。

もちろん軽犯罪には注意が必要ですが、周辺国と比べて凶悪犯罪に遭う確率は格段に低いです。現地では法の順守意識も高く、警察の信頼度も高いのが特徴です。

2位:チリ

指標数値
殺人発生率約4.6人/10万人(2024年)
外務省危険情報レベルレベル1〜2(一部の抗議活動地域除く)
犯罪多発都市数1都市(サンティアゴの一部)
誘拐・強盗・窃盗件数やや増加傾向
国際治安評価7.5/10

チリは、自然観光と都市の利便性が両立した国です。パタゴニアやアタカマ砂漠など、世界的な絶景スポットもあり、治安の面でも他の南米諸国と比べて圧倒的に良好です。

ただし、近年では経済格差に起因した抗議活動やデモが頻発する場面もあり、都市部では突発的な混乱に巻き込まれないよう注意が必要です。それでも観光インフラの整備状況や国民の教育水準の高さは安心材料となっています。

3位:アルゼンチン(都市部限定)

指標数値
殺人発生率約4.3人/10万人(2024年)
外務省危険情報レベルレベル1〜2(ブエノスアイレス中心部)
犯罪多発都市数1都市(都市周辺部のみ)
誘拐・強盗・窃盗件数中程度
国際治安評価7.0/10

アルゼンチンは、経済的な混乱が続いているとはいえ、観光地としてはまだまだ魅力的な国です。ブエノスアイレスの市内中心部や、パタゴニア地方、イグアスの滝周辺などは警備が行き届いており、比較的安全に旅ができます。

ただし、都市の郊外や貧困層が集まるビジャ(スラム)周辺では犯罪率が高いため、観光客は不用意に立ち入らないことが求められます。

4位:コスタリカ

指標数値
殺人発生率約11.2人/10万人(2024年)
外務省危険情報レベルレベル1(全土)
犯罪多発都市数1都市(サンホセの一部)
誘拐・強盗・窃盗件数中程度(首都周辺での軽犯罪が中心)
国際治安評価6.9/10

コスタリカは中米の中でも特に平和で安定した国として知られています。軍隊を保有しない国家としても有名で、その代わりに教育と医療に重点を置いた政策を長年維持してきました。その結果、犯罪発生率は中南米の中ではかなり低く、旅行者にとっても過ごしやすい国となっています。

自然観光の宝庫であり、火山、熱帯雨林、ビーチなど多彩なアクティビティが楽しめる上に、治安面の不安が比較的少ないというバランスが高く評価されています。ただし、首都サンホセやその周辺ではスリや置き引きの被害報告があるため、都市部での行動には一定の注意が必要です。

5位:パナマ

指標数値
殺人発生率約9.6人/10万人(2024年)
外務省危険情報レベルレベル1〜2(一部港湾エリアで注意)
犯罪多発都市数1都市(パナマシティの一部)
誘拐・強盗・窃盗件数比較的少ない(観光地では注意)
国際治安評価6.7/10

中南米の中で経済発展が最も安定している国の一つがパナマです。国際的な金融拠点でもあるパナマシティは、高層ビルが並び、治安面でも比較的落ち着いた都市です。治安を重視した都市計画や警察のパトロール強化により、外国人旅行者にとって安心できるエリアが広がっています。

とはいえ、夜間に港湾地区や人通りの少ない裏通りを歩くのは避けるべきです。観光客が訪れるオールドタウン(カスコ・ビエホ)周辺は昼間は賑わっていますが、夕方以降の行動には注意が必要です。

そもそも、南米・中南米の治安が悪いのはなぜか?

中南米が危険な理由

南米や中南米の国々が「治安が悪い」と言われる背景には、単なる犯罪件数の多さだけでなく、歴史的・社会的・経済的な複合的要因が絡み合っています。

この章では、その根本的な理由を三つの観点から解説します。

ドラッグ密輸ルートと国際犯罪ネットワークが根深い

南米といえばコロンビアやボリビア、ペルーといったコカイン原料の生産地が多く存在し、そのルート上にある中米諸国もまた、密輸の中継地点として組織犯罪に巻き込まれる構造があります。麻薬カルテルやギャングが勢力を広げることで、治安当局が手出しできない地域が形成され、これが凶悪犯罪の温床となっています。

例えばメキシコからアメリカへの密輸ルートに関連して、中南米諸国の都市部では麻薬を巡る抗争や報復事件が絶えず発生しており、これに巻き込まれる一般市民や観光客も少なくありません。さらに、こうした犯罪組織は武器・人身売買などとも結びついており、単なる地域犯罪ではなく国際的な危険要因として機能しています。

貧困層の多さと教育格差が犯罪温床に

中南米では、依然として高い失業率と教育格差が治安悪化の大きな要因となっています。特に10代から20代の若年層が、職も教育の機会もないまま社会に放り出されることで、ギャングへの加入や強盗・窃盗といった手段に走る傾向が高まっています。

都市部では、豪華な高層マンションと、すぐ近くに広がるスラム街(ファベーラやバリオ)が混在しており、社会的な不満や格差への憎悪が犯罪の背景にあることも見逃せません。南米の犯罪は「計画的」というより「機会的(チャンスがあれば盗る)」なものも多く、経済的余裕のある外国人観光客はその格好の標的になりやすいのです。

警察・政治機関の腐敗が治安悪化を止められない

治安を改善するために本来機能すべき警察や司法、政府機関そのものが、しばしば腐敗にまみれているというのも、中南米特有の深刻な課題です。汚職警官による収賄、犯罪組織との癒着、そして裁判の不透明さが、市民の治安機関への信頼を著しく損ねています。

こうした背景から、犯罪が起きても「訴えても意味がない」「通報しても解決しない」というあきらめや沈黙の文化が広がっており、これが結果的に犯罪の温床となっているのです。治安の回復には、こうした構造的な不信と腐敗の根絶が不可欠ですが、今のところ抜本的な改革が成功している国は限られています。

旅行者が気をつけたい中南米の治安トラブルと対策

中南米を旅する魅力は計り知れません。古代遺跡、豊かな自然、そして活気あふれる人々との出会い。しかし、その一方で油断すれば思わぬトラブルに巻き込まれるリスクもあります。

この章では、実際に旅行者が直面しやすい治安上のトラブルと、それを未然に防ぐための具体的な対策を紹介します。

バスや長距離移動中の荷物窃盗に要注意

中南米では、都市間の移動にバスを利用する旅行者が多いですが、この場面での荷物の盗難被害は非常に多く報告されています。特に、夜行バスや混雑したバスターミナルでは、トランクに預けた荷物が開けられる、座席上の荷物がすり替えられるなどの被害が後を絶ちません。

現地の乗客を装った窃盗団がバスに同乗し、寝ている旅行者を狙うケースもあるため、貴重品は常に身体から離さずに持つことが大切です。また、チケット購入の際は正規の窓口やアプリを使い、信頼できるバス会社を選ぶことも被害防止に繋がります。

治安が良い国でも夜間の外出は控えるべき

ウルグアイやチリなど、比較的治安の良いとされる国でも、夜間の一人歩きはリスクが高まることがあります。街灯が少ない通りや人通りの少ないエリアでは、軽犯罪や暴行事件の可能性が高まるため、たとえ安全とされる地域でも油断は禁物です。

観光客は現地の雰囲気に慣れておらず、ターゲットになりやすい存在であることを忘れてはいけません。外出が必要な場合は、信頼できる配車アプリ(UberやDiDiなど)を利用する、複数人で行動するなど、安全確保の工夫を徹底しましょう。

スマホや高価な時計は見せないのが基本

スマートフォンや高級腕時計、ブランドバッグなどは、現地では「持っている=狙われる」という意識が必要です。実際、多くのスリやひったくりは、通話中や写真撮影中にスマホを奪われる形で発生しています。

そのため、街中でスマホを使う際は壁や建物に背を向けて操作する、外から見える場所にブランド品を持ち歩かないなど、小さな習慣が大きなリスク回避になります。また、現地の人がどう振る舞っているかを観察し、それに合わせて行動するのも安全対策の一つです。

まとめ:中南米の治安は△|危険を回避して安全な旅行をしよう

「中南米=危険」というイメージは、過去の統計や報道に基づいた事実である一方、すべての国や地域が一律に危険というわけではありません。本記事で紹介したように、ベネズエラやホンジュラスのように深刻な治安問題を抱える国もあれば、ウルグアイやチリのように比較的安定している国も存在しています。

そして、危険とされる地域であっても、その危険性の「質」と「場所」には差があります。リオデジャネイロのファベーラと観光地では事情がまるで違いますし、メデジンの都市中心部は今や観光客で賑わうスポットになっています。つまり、危険だからといって諦めるのではなく、「どうすれば安全に過ごせるか」を考えることこそが重要なのです。

特に旅行者にとって大切なのは以下の3点です。

事前の情報収集を怠らない

最新の外務省危険情報や現地のニュースを確認することで、避けるべきエリアや時間帯を把握できます。

現地文化を尊重した行動をとる

服装や言動、撮影マナー、一つを取ってもトラブルの原因にも回避のきっかけにもなります。

油断しない

治安が良いとされる国や地域でも、特に旅行者は常に狙われやすい存在です。夜間の移動、スマホの使い方、現金やパスポートの管理など、細心の注意を払いましょう。

中南米は、遺跡、美食、自然、人の温かさといった他にはない魅力があふれる地域です。治安リスクを正しく理解し、適切に対処すれば、それらの宝物のような体験を安全に楽しむことができます。

どうか今回の情報が、あなたの中南米旅行をより安心で豊かなものにする一助となれば幸いです。

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この記事を書いた人

海外旅行中に起こりうる危険を未然に防ぐために、リアルな体験情報を発信する『リスクメイトブログ』を運営しています。私たちは、海外の危険情報を共有できるマップサービス「リスクメイト」を提供しており、危険度を色分けすることで、一目でリスクを把握できる仕組みを構築しました。さらに、実際にトラブルに遭遇した方々の投稿をもとに、具体的な対策や回避方法をお届けすることで、安全な旅をサポートします。「知らなかった」で済まされない海外のリスクを、できる限りわかりやすく伝え、旅行者が安心して旅を楽しめるよう、これからも情報を発信していきます。

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